自然とつながる暮らしをしたいという思いから、2013年に兵庫県から夫婦で原村に移住しました。いまは食用のフルーツほおずきを育て、エコラ倶楽部の会員として森づくりの活動に取り組みつつ、「エコラの森のなつまつり」では、出店者としてフルーツほおずきのアイスやソース、ドライフルーツなどの販売もしています。

村のなかに立ってみると、目の前に八ヶ岳が広がり、森があって、畑があって、自然のグラデーションのつながりがあります。そのなかで私たちが手がけている畑は、太陽や雨、大地、生物など、自然の力を借りて人の手でつくったものでありながら、風景の一部になれることが素晴らしいと感じます。そして森は、完全な自然である山と畑とのちょうど真ん中にあり、その森もまた人の手を入れてこそ、人が立ち入れるようになるのです。

人が手を入れはじめてしまった森は、人がずっと管理をしていかないといけません。しかし、個人で森と向き合うことは、なかなか難しいものがあります。そうしたなか、私たちは家づくりが縁で知り合った「アトリエデフ」の大井さんからエコラ倶楽部に誘っていただき、森づくりの活動をはじめました。参加することで、自然とのつながりだけでなく人とのつながりも生まれ、どんぐりの芽出しなど、自然にまつわる多くのことを教えてもらっています。芽出しをしたどんぐりは苗にして庭に植え、ようやく実が成りはじめました。実際に木を育てていくことは親子三代ほどの長い時間がかかるともいわれていますが、その成長を実感しています。

森は一見、どこでも入れそうですが、管理されていない森は鬱蒼とし、笹も生え、なかなか立ち入ることができません。そうしたなか、自らの手で自分たちが入れる森をつくり、多くの人に訪れてもらえること。それがエコラ倶楽部の活動のやりがいです。友だちが原村に遊びに来ると「エコラの森」を案内します。私にとってこの森は、自慢の場所なのです。

いま、世の中には、管理ができない森にソーラーパネルを設置する動きも見られます。しかし、森として、自然として、地域は成り立っていくべきです。そのためには一人では大きな活動はできませんが、みんなの力があれば、少しずつでも必ず森づくりができます。その活動を続けていくことが、これからのめざすところです。